比率は出発点であって正解ではない
実際の人の体は一人ひとり違い、同じ人でも姿勢によって長さが違って見えます。それでも比率を学ぶのは、基準なしに描くと頭が大きくなり脚が短くなるというように、誰もが似た方向に間違えるからです。以下の比率は、立っている大人を正面から見たときのおおまかな目安です。まずこの目安で大きな枠をとり、実際のモデルや写真を見ながら違いを見つけて直していくのが正しい順番です。目安と違う体つきの人を描くときも、目安を知っていてこそ、どこがどう違うのかを正確に見られます。
頭の長さを単位に体を測ると、人物の絵のバランスが整います。体と顔の目安、動きを先にとる方法、よくある失敗をまとめました。
実際の人の体は一人ひとり違い、同じ人でも姿勢によって長さが違って見えます。それでも比率を学ぶのは、基準なしに描くと頭が大きくなり脚が短くなるというように、誰もが似た方向に間違えるからです。以下の比率は、立っている大人を正面から見たときのおおまかな目安です。まずこの目安で大きな枠をとり、実際のモデルや写真を見ながら違いを見つけて直していくのが正しい順番です。目安と違う体つきの人を描くときも、目安を知っていてこそ、どこがどう違うのかを正確に見られます。
人体の比率は、ふつう頭の縦の長さ、つまり頭頂からあごまでを一単位として測ります。立っている大人の身長はおよそ七頭身から八頭身で、美術の教本ではすらりと見栄えのよい印象のために、八頭身に理想化した基準がよく使われます。最初は紙に身長分の縦線を引いて八つに区切り、それぞれの区切りにどの部位が来るかを書き込む練習が役に立ちます。子どもは体に比べて頭が大きいので、単位の数がずっと少なくなります。赤ちゃんはおよそ四頭身で、成長するにつれて頭に比べて脚が長くなり、単位の数が増えていきます。子どもを大人の比率で描くと不自然に見えるのはこのためです。
すべての長さを覚える必要はありません。次のいくつかの目安だけ覚えておけば、残りは自然に位置が決まります。どれもまっすぐ立った姿勢を基準にしたおおよその位置です。
顔でいちばん多い失敗は、目を高く置きすぎることです。正面から見ると、目は頭頂からあごまでの縦の長さのほぼ真ん中にあります。額と髪の部分が思ったより大きいので、目は頭の上から三分の一あたりにあると思い込みがちです。両目の間隔はおよそ目ひとつ分の幅、鼻先は目とあごのほぼ中間、口は鼻先とあごの間で少し鼻寄りの所に来ます。耳は横から見ると、眉の高さから鼻先の高さの間にかかります。顔を描くときも、まず縦の中心線と目の高さの横線を十字に引いておくと、振り向いたりうつむいたりした顔も向きをとりやすくなります。
比率が正確でも姿勢が硬いと、人物は生きているように見えません。そこで多くの人が、短い時間で全体の動きだけをとらえるジェスチャードローイングをあわせて練習します。タイマーを三十秒から二分の間に合わせ、その時間内に頭から足先まで体が傾く大きな流れを一、二本の線でとらえ、手足の向きだけを足します。この大きな流れの線を動きの線と呼びます。体重をかけた脚の側の骨盤が上がり、肩は逆に傾くといった対比が入ると、姿勢が自然になります。細部を描かないことがこの練習の要です。
動きがとれたら、その上に単純な立体で体を組み立てます。頭は球、胸は上が広い箱か卵形、骨盤は低い箱、手足は円柱にし、肩、ひじ、手首、股関節、ひざ、足首に小さな円を描いて関節を示します。こうすると手足の長さを頭の単位で測りやすくなり、体をひねった姿勢で胸と骨盤が別の方向を向いている様子も表せます。関節人形や写真資料をあわせて見ながら練習すると、角度の理解に役立ちます。筋肉や服は、この構造が合ってからのせます。
初めて人物を描くとき、ほとんどの人がぶつかる問題です。描き終えてから頭の単位で測り直すと、たいてい見つかります。